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2019.09.19

東京との適度な距離感、豊富な人材、上向く景気、心強い行政。いまの大阪には、実はITベンチャーを大きくしやすい環境が整っている〈 大阪ITベンチャー対談:クックビズ×スマレジ 〉

あまり知られていないが、大阪にも元気なITベンチャー企業がいくつもある。今回は、そのうちの2社のトップ、クックビズ株式会社 代表取締役社長CEO 藪ノ賢次氏(写真中央)と、株式会社スマレジ 代表取締役 山本博士氏(写真左)に、大阪ITベンチャーの魅力やメリット、働きやすさなどについて伺った。

クラウド型、スマホ・タブレット対応のPOSレジで急伸する「スマレジ」
「飲食×●●」で人材ビジネス、メディアなどを幅広く展開する「クックビズ」

まずは簡単な自己紹介をお願いします。

山本 スマレジの山本です。生まれも育ちも大阪で、もとは音楽を志していました。音楽スタジオでアルバイトをしていたとき、ホームページを作ってもらうことになり、スマレジの前身であるWeb制作会社と出会いました。そこで「こんな世界があるんや」と知って、私はいったんプログラマーになり、法人化のタイミングでWeb制作会社にジョイン。

その後、ビジネスをWeb制作からシステムパッケージ開発に切り替えた際、いくつかつくった製品の1つが「スマレジ」やったんです。私がプログラマー時代にたまたまPOSシステムの開発に携わった経験があり、2011年にクラウド型でスマホ・タブレット対応のPOSレジ「スマレジ」をリリースしました。それ以来、開発主体で商品力を高めつづけ、ビジネスを成長させてきました。2019年8月現在、スマレジは登録店舗数66,000店舗以上に達しています。

藪ノ クックビズの藪ノと申します。私も大阪育ちですね。小さいときはソフトボール少年で、小学校6年生のときには堺市の一番大きな大会で優勝しました。堺市はソフトボールが盛んなんです。大学を卒業してすぐに大阪で起業し、2社目・2006年に「飲食×人材」ビジネスにたどり着きました。当初は学生アルバイトの採用が中心でしたが、正社員採用の人材ビジネスにピボットしたのがうまくいって、現在は「飲食×●●」を基軸にして、飲食特化型の人材ビジネス、研修サービス、メディアなどを幅広く展開中。WebサイトやWebサービスは社内で開発・運用しています。

クックビズ
スマレジ

2社ともIPOをしましたよね。

藪ノ 2017年11月に東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場しました。私たちは人材ビジネスを行っていることもあって、営業力強化のために、上場によって信用を高める必要があったんです。それが上場した最大の理由です。スマレジは確か、上場のとき、府知事にお祝いしてもらっていましたよね。

山本 そうなんですよ。私たちは、今年2019年2月に東京証券取引所マザーズ市場に株式を上場しました。

いま最も必要としている人材はどのポジションですか?

山本 管理部長です。私たちはもともと開発会社から始まっていますから、エンジニアは何人もおりますし、営業部も層が厚くなってきたんですが、管理系は上場時に整えたもののまだまだ手薄。今後、ホールディングス化、事業部制、M&Aなども積極的に検討したいと思っており、その中心となる管理部をまとめていただける方を探しています。

藪ノ 私たちが求めているのは経営企画です。クックビズの経営企画は、事業企画・M&A・事業提携・出資・広報など幅広い役割の全体統括をするポジション。いま私たちは、ベトナムの大学などと連携して、現地大学生に対して外食向けの特定技能ビザ取得を支援し、日本の外食業に紹介する新ビジネスを始めています。現任者がこのビジネスの責任者としてアサインされるため、新たな担当者を必要としているんです。私たちは、株主からは常に非連続な成長を求められています。経営企画は、次の非連続な成長を実現する上でのキーパーソン。とても重要な採用です。

山本博士 氏

大阪にもITベンチャーのエコシステムができた
目立ちやすいから、上場したら府知事がお祝いしてくれたりする

大阪でITベンチャー企業を経営するのは、正直、どうですか?

藪ノ 本社はこちらにありますが、私は月の半分は東京にいます。どうしてもマーケティングや拡販は、東京でないと難しいところがありますから。ただ一方で、Webサービスやシステムの開発は大阪のほうが集中できますし、個人的には住環境はこっちがいいですね。

山本 私も頻繁に東京に行っています。ぶっちゃけた話、最近はもう、大阪は「東京の外れ」くらいの感覚ですよ。何しろ新幹線が何分かおきに走っていて、2時間30分で東京に行けますから。新幹線の乗り心地も良く、仕事場としてもかなり優れていますし、大阪のデメリットはほとんど感じません。友達も家族も大阪にいますから、私も住む分には大阪のほうが居心地が良いです。

藪ノ それから、当たり前ですけど、クックビズは飲食店の景気に大きくビジネスが左右されます。その意味では、大阪がインバウンドの出口になって、観光客が爆発的に増えたのは助かっています。そのおかげでビジネスが上向いたのは間違いありません。いまは、私たちのようにサービス業を支援する会社は、むしろ戦略的に大阪のお客様と協力してプロダクトを磨きこんで、東京で拡販するほうがいいんじゃないかと感じるくらいです。

山本 民営化など政治主導の改革もうまくいって、大阪は確実に10年前よりも良くなっています。たとえば、心斎橋筋商店街という有名な商店街があるんです。私が子どもの頃はいつも人だかりができていたんですが、ここ10年、20年はかなり人通りが減っていました。最近はインバウンドが増えたおかげで、そこが復活して再び混雑しています。大阪城公園なんかも随分きれいになりましたし、2025年には万博も開かれる。大阪はいま元気です。

そういった背景もあって、私たちもクックビズ同様、大阪で開発して、東京でマーケティングやセールスに力を入れる体制を取っています。大阪で開発するのは、見方を変えれば、一種のニアショアとも言えますね。

藪ノ さらに、大阪夢洲IR構想も進んでいますし、法改正などのスピードも速い。大阪でビジネスを大きくするメリットはいろいろあります。

山本 それに最近は、大阪にもベンチャー企業やベンチャーキャピタルが増え、エコシステムができてきました。とはいえ、東京と比べたら小さなエコシステムですから、目立ちやすい。目立ちやすいから、私たちのように、上場したら府知事がお祝いしてくれたりするわけです。

藪ノ 行政が押し上げてくれるんです。東京じゃ、そうはいかないでしょう。

山本 大阪は、西日本から人が集まってきていることもあって、エンジニア人材も豊富ですし、実はITベンチャーを大きくしやすい環境が整っているんじゃないかと思います。

今後のビジネスについて教えて下さい。

藪ノ 新たに迎え入れる経営企画ポジションの方と一緒になって、新領域のビジネス開発を進めたいと思います。たとえば、「飲食ビジネスの省人力化」です。いま日本の飲食業は全体的に人手不足に悩んでいます。そこで私たちは、ベトナムの皆さんを日本の飲食業に紹介するビジネスを始めたわけですが、長期的には、そうした取り組みだけでは人手不足を解消できません。いずれは、ロボットによってコックレスキッチンを実現したり、レジを完全自動化したりする必要が出てきます。私たちはそこにいち早く取り組みたい。

ただ、飲食店向けのロボットはまだまだ開発途上です。そもそも産業用ロボットがまだ大きすぎて、厨房に入らないんですね。さまざまな企業とアライアンスを組みながら、こうした問題を一つひとつ解決し、近い将来、多くの飲食店にロボットを提供できたらと思っています。こうした動きの中心に立ち、事業企画を推進してくれる仲間を求めています。

山本 私たちのメインビジネスは今、スマレジの販売ですが、今後は「販売データプラットフォーム運営事業」に主軸をシフトしていきます。もちろん、スマレジは重要なプロダクトなんですが、それ以上に、商取引のビッグデータを蓄積したオープンプラットフォームを運営し、多くの企業ユーザーに活用していただくことに注力しています。このプラットフォームを使えば、自社データに加えて世界中の販売データを活用し、さまざまな分析ができるんです。

そのビジネスの一環として、私たちはいま、プラットフォームと紐づいた「アプリマーケット」の構築を進めています。私たちのプラットフォーム上で動くデータ分析アプリを誰でも自由に開発できる環境を用意し、マーケットで販売できるようにしたいんです。なぜなら、そうすることで、データ分析に関するユーザーの多様な要望に応えられるはずだからです。併せて、将来的にはCVC(コーポレートベンチャーキャピタル:事業会社による少額投資)もできるようにしたい。有望なアプリ開発者に少額投資できる仕組みを実現したいんですね。実はいま、管理部門担当の取締役に、この仕組みの構築をお願いしています。今回、管理部長の採用を急いでいるのは、取締役がこれで忙しくなったことが大きく関係しています。

最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。

藪ノ 最近、私たちはCI(コーポレートアイデンティティ)を一新しました。新スローガンは「食を、世界のまんなかに。」で、新ロゴにはかけ算の意味を持つアスタリスクをデザイン。これには「食×●●でビジネスを展開しよう」という強い意志を込めました。また、私たちのミッションは、「食に関わるすべての人の成長を実現する。」です。人材サービスを活用するユーザーの皆さんもそうですが、私としては社員の成長も応援したい。新たに入社する方は、自身の成長に貪欲であってほしいですね。

山本 最近は暗いニュースが多いですが、だからこそ、私たちはコンピュータテクノロジーを信じ、ソフトウェアメーカーとして良い未来を生み出しつづけていきたい。その同志になってくれる方に来ていただけたら嬉しいですね。

【クックビズの概要】
「日本が誇る多様な食文化こそが、世界と互角以上に戦える産業である」そう我々は確信し、フード産業特化の人材サービスを中心に食領域での事業開発を行っています。ミッションである「食に関わるすべての人の成長を実現する。」を目指し、業界内の人材だけでなく、才能あふれる若手人材や他業種で経験を積んだキャリア人材が、フード産業で活躍できる社会を創造します。多種多様な人材がフード産業に集結し、食のイノベーションを加速させ、日本を元気に、世界中の人々をハッピーに。クックビズの挑戦は始まったばかりです。

  • 設立:2007年12月
  • 従業員数:201名(パート・アルバイトを除く) ※ 2019年5月末日時点
  • 資本金:4億6,733万2,000円(2019年5月末日時点)
  • 売上高:25億300万円(2018年11月期)
クックビズ株式会社 代表取締役社長CEO 藪ノ賢次 氏

大阪府出身。2004年に大阪府立大学 工学部卒業後、すぐに起業。 幾つかのサービスの立ち上げを経験し、2007年にクックビズ株式会社を設立。代表取締役に就任。「食に関わるすべての人の成長を実現する。」をミッションに、飲食店とそこで働く人材のミスマッチを無くすため採用活動・転職活動を支援する人材サービスを手がける。
2017年、東京証券取引所マザーズ市場へ上場を果たす。

【スマレジの概要】
私たちは、あらゆる販売データの収集と活用を行う、「販売データプラットフォーム運営事業」を展開しています。複合的に絡み合う商取引のビッグデータ、これらを保有し、分析・活用できるプラットフォームの運営を通して、社会の発展に寄与します。たとえば、販売データ分析を通して、販売の効率化、消費トレンドの可視化、未来の購買予測まで、可能になるかもしれません。皆さんの日々の経済活動と密接に関わりのあるデータを紐解き、未来の暮らしをより楽しく便利にしていきます。

  • 設立:2005年5月24日
  • 従業員数:86名(パート・アルバイトを除く)
  • 資本金:10億9,780万8,000円(2019年6月30日現在)
  • 売上高:13億9,326万8,000円(2018年4月期)
株式会社スマレジ 代表取締役 山本博士 氏

2003年よりITエンジニアとして多数の業務システム開発に従事。これまで関与した開発は、金融・通信・物流・保険・製造・サービスなど多岐にわたり、アプリコンテスト審査員や書籍執筆なども経験。複数の業種をまたいだ業務知識を持ち、過去の経験を裏付けつつも既成概念にとらわれない斬新なアイディア立案を得意とする。2011年 株式会社プラグラム代表に就任後、過去ドラッグストア向けPOSシステムを開発した経験を元に、クラウド型POSレジサービス「スマレジ」を立ち上げる。

  • クックビズ/経営企画(責任者候補)

    年収:応相談

    勤務地 大阪
    業種 IT・インターネット > インターネットサービス
    人材・研修・教育 > 人材紹介・人材派遣・研修
    IT・インターネット > ソフトウェア
    職種 経営企画・事業企画 > 新規事業企画・立上げ
    経営企画・事業企画 > 事業企画・統括
    経営企画・事業企画 > 経営企画・戦略
  • スマレジ/管理部長候補

    年収:応相談

    勤務地 大阪
    業種 IT・インターネット > インターネットサービス
    IT・インターネット > SIer
    IT・インターネット > ソフトウェア
    職種 管理 > 財務
    管理 > 管理会計
    管理 > 経理

担当ヘッドハンターの目線

小川 智里 氏株式会社リクルートキャリア ハイキャリアコンサルタント

小川 智里 氏

2009年4月 学生時代、仲間内でネットビジネス立上。0→1、ビジネスの面白さを体感し、別事業として結婚相談所の立上にも従事。我流ではなくビジネスの本質やフレームワークを学びたいと考え、第二新卒枠で2010年7月 株式会社ネオキャリアへ入社。IT子会社であるアクサス株式会社の大阪支社立上に携わり、営業・営業MGRを経て事業責任者として従事。2016年5月 株式会社リクルートキャリアへ入社し、現在に至る。得意分野は経営企画/コンサルティング。

世界で最も住みやすい都市の1つ・大阪に
実は伸び盛りのベンチャー企業がいくつも出てきている

「関西のベンチャー企業は?」と問われると、瞬時に社名が出てこない方も多くいらっしゃるかと思いますが、実は今、関西発のベンチャー企業が増えているんです。

今回特集しているのは、関西ベンチャーの中でも注目度が非常に高い2社です。クックビズは「雇用創出」という切り口で、スマレジは「キャッシュレス化」の観点から、数多くの顧客の課題解決に向き合い、同時に少子高齢化という社会課題の解決にも取り組んでいます。クックビズは2017年、スマレジは2019年に上場を果たし、今なお成長し続けています。

ところで、経済産業省のデータ(近畿経済産業局「最新の経済データから見た関西中小企業の動向」平成30年10月17日)によると、近年、全国的にみても関西圏での開業率は伸長しています。加えて、これから一層活況となるインバウンド需要も後押しし、ますますの経済発展が期待できるのが関西市場です。
※経済産業省データ
https://www.kansai.meti.go.jp/1-9chushoresearch/frontline/frontline_no10.pdf

また、最近は大阪が住みやすいまちとしても評価されてきており、関西Uターン希望の求職者様からご相談いただくことも増えています。経済、住まいの観点からみても、今後、優秀人材の関西UターンないしはIターンの人材流動が増えることが予想されます。

今回ご紹介した2社以外にも元気なベンチャー企業がいくつもありますし、その一方で、関西の大手企業も、新ビジネスへのチャレンジや組織変革などに果敢に取り組み、成果を出してきています。転職を考える際、ぜひ大阪・関西の企業に注目してください!

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