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2016.12.01

ユー・エス・ジェイ曽我部氏が語る「経理財務に必要なこと」

ユー・エス・ジェイが求めるのは現場に寄り添いながら社外やアメリカ人ともタフなネゴシエーションができる方。

CFOとは、Chief Financial Officer、つまり「最高財務責任者」を指します。経理・財務データをもとに財務戦略を練ったり、キャッシュフローの管理、ファイナンスの実施、M&Aなどの投資戦略の立案などを行ったりと、企業経営を財務面から牽引するのがCFOの使命です。起業件数の増加に伴ってCFOの求人ニーズは拡大中で、将来のキャリアとしてCFOを目指す若手ビジネスパーソンも増えつつあるようです。そこで今回はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(R)を運営しているユー・エス・ジェイ(以下、USJ)のファイナンス・インフォメーションシステム本部 経理・財務部 部長・曽我部元之氏に、経理マネジャー募集の案件を通じて、現在のCFOやコントローラー(ファイナンシャル・コントローラー)、経理マネジャーに必要なことを伺いました。

絶好調のビジネスに合わせて経理財務部門を拡充する上でのキーパーソンを募集

今回、なぜ経理マネジャーを募集しているのでしょうか?

近年USJは来場者数を年々大きく伸ばしており、2015年度には1,390万人ものお客様にご来場いただきました。これはパーク開業から底であった2009年度に比べると倍近い数字になります。おかげさまで、ビジネスは絶好調です。

なぜ私たちがこれほど活況なのかと言うと、小さなお子様を持つファミリー層に好評を博した2012年の「ユニバーサル・ワンダーランド」の新設、2013年の「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド~バックドロップ~」と4K3Dを搭載した「アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマンTM・ザ・ライド」といった人気アトラクションのリニューアルによって若者層の高い支持を得たこと、さらにすっかりUSJの代名詞となった2014年の「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター(TM)」の導入といった大型エリアやアトラクションの開発の成功などがよくあげられます。しかし、それだけではありません。「ハロウィーン・ホラー・ナイト」や「ユニバーサル・クール・ジャパン」といった特徴あるシーズナル・イベントに注力するなどして、ターゲットである10代後半~20代の女性層とファミリー層への訴求力をどんどん強めてきたからです。

私は当社のビジネスがまだ低迷していた2010年7月に、経理・財務部長(コントローラー)としてUSJに入社しましたが、この6年間は一言では言い表せない濃密な日々の連続でした。入社した当初は、皆が一様に暗く、疲れた顔をして働いていたのですが、今は、同じくらいヘトヘトになっていても、前向きで、あの頃とは顔つきがまったく違います。経理財務の業務面でも、当時はまだまだ厳しい環境にありましたが、現在はさまざまな面で格段にビジネスを進めやすくなっています。たとえば金融機関の方々との取引においても、リーマンショックの影響がまだまだ残っていたところに、当社の業績低迷がさらに追い打ちをかけ、彼らとの交渉も非常にタフでハードなものでした。しかし、その後の当社のV字回復を受けて、今ではすっかり良好になり、お互いにとって最適なWin-Winの関係を構築できたと感じています。ここに至るまでには、紙面では語りきれないかなりの紆余曲折がありました。

また、経理としては他にも大きな変化がありました。当社では、2014年に将来のグローバル展開や資金調達手法の拡大を目指してIFRSを導入しましたが、2015年にはComcastグループ・NBCユニバーサルの資本参加を得たことにより、US-GAAPも導入することになりました。この結果、現在は、従来のJ-GAAPと合わせて3つの会計基準を併用しています。当然、業務とその範囲は質量ともに増え、従業員数も増えました。経理・財務部として2010年に28名ほどだったメンバーは、現在では35名になっています。私は今、この部門をさらに強化、増員して「40名体制」にしたいと考えております。そこでは当然、今後の社内でのローテーションも視野に入れていますし、さらに現在、NBCユニバーサルとアメリカへの1年程度の派遣制度・プログラムの導入についても検討しています。すべてが、中長期、将来の経理・財務部の強化を見据えたもので、今回はそのために必要な経理マネジャーやスタッフを求めています。

USJの組織的な特徴を教えてください。

USJには「Swing the bat! Everything is possible. Decide now. Do it now.」というスローガンがあります。このスローガンこそ、USJの好況を支える原動力といってよいでしょう。一見実現が難しそうなことでも、できない理由を探すのではなく、皆が前向きに工夫をしながら実行していく会社です。

なかでも特徴的なのが「Swing the bat!」です。この「空振り(失敗)を恐れず、力いっぱいバットを振りなさい(チャレンジしなさい)」というスローガンが、USJには本当に浸透しています。たとえば、後ろ向きのジェットコースター「ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド ~バックドロップ~」は起死回生のアイデアで、日本におけるアトラクションの待ち時間記録を更新するほど大人気となりました。また、来場者の皆さんを怖がらせることで楽しんでいただく「ハロウィーン・ホラー・ナイト」は、10月を最も来場者が多い月(176万人/2016年)に押し上げることに貢献しました。私たちは、こうしたアイデアを次々に実現し、お客様にクオリティの高い新たな楽しみ、「世界最高をお届け」しています。

同様に経理財務においても、さまざまなチャレンジを進めてきました。当社では、おそらく一般的に想像されそうな遊園地やテーマパークを運営している会社とは思えないほど、アカデミックなデータ分析に積極的に取り組み、コストコントロールの面でも徹底しています。経営陣やマネジャー層はもちろんのこと、若手メンバーに至るまで、誰もがいつも具体的に数字を出し、データに基づいて語る文化があります。さらに報酬面においてもEBITDA連動型ボーナスが用意されているため、組織全体に「利益意識」がしっかりと根づいた会社と言えます。したがって、私たちはむやみにチャレンジしているわけではなく、しっかりと利益を出すことを前提に取り組んでいますので、経理・財務部としても非常に仕事がしやすい環境であると思います。

経理マネジャーの方には会社視点で物事を考えていただきたい

入社する方にはどのような活躍を望んでいますか?

今回求める経理マネジャーにお願いしたいのは、海外の株主への決算報告や質問などへの対応業務です。現在、私たちの株主は、アメリカのNBCユニバーサルと、いくつかのPE(プライベートエクイティ)ファンドなどです。彼らとのコミュニケーションや説明資料作成が主な業務となります。また金融機関などへの財務報告やコミュニケーションも行っていただきます。もちろん、すべてを自分で実行するのではなく、メンバーをマネジメントしながら進めていただくことになります。

特に、私が新たに入社する方に期待しているのは、アメリカの方々とのネゴシエーション能力です。私の経験から見ても、私たちのカウンターパートである海外の株主のファイナンスメンバーは、どなたも話していて気持ちが良く、非常にリーズナブルで信頼できる方々だと思います。私たちを深く理解してくれる方々で、こちらの意見や状況をしっかりと伝えればわかってくれます。たとえば、ある要望に100%応えるのが難しくても、「代わりにこういうやり方ならできます」と話せば、柔軟に対応を変えてくれることも多いです。私たちは、ここでも「できない理由を探すのではなく、最善の結果を出すために協業」しているのです。新たに入社する方にも、ぜひ上手にコミュニケーションをしていただけたらと思っています。

それから、今回募集する方には、いずれは部長、CFOなど経営幹部へのステップアップを目指していただきたいと考えています。すなわち、これは「次のリーダーを育てる」ための募集でもあるのです。

USJに入社すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?

一言で言えば、「多様な経理経験」が積めることです。テーマパークとは、日々たくさんのゲストがお越しになり、またそのゲストをお迎えする多くのクルーがいる、あたかも一つの小さな「街」のようなもので、中には様々な業界、機能が存在しています。
マーケティング業界、飲食業界、小売業界、流通業界、IT業界、旅行業界、建築業界…。つまり、USJはいくつものビジネスの複合体なのです。経理の立場から言えば、転職せずにさまざまな業界の経理を経験できるというメリットがあり、いくらでも学べることがある。経理としての知見を広めたい方には刺激の多い職場だと思います。

それから、USJが経理面で特徴的なのは、用途や相手に合わせて、US-GAAP、J-GAAP、IFRSの3つの会計基準を併用しているということです。この企業規模で3つの会計基準を使っているケースは世界的にも珍しいはずで、これが魅力的に映る経理パーソンの方も多いと思っています。なお特にベースとなるJ-GAAPは上場企業レベルの知識と経験があれば好ましいですが、入社時は、どれか1つの会計基準に詳しく、加えてそれぞれの会計基準の特徴をしっかりと把握していればまずは十分です。

どのような方を求めているのでしょうか?

アメリカとのコミュニケーションという意味では、単にビジネス英語ができるというだけでなく、向こうの文化をよく理解し、上手にネゴシエーションできる力を求めています。もちろん、報告するために必要な分析力や文章力なども欠かせません。

また、私たち経理財務部門が能力面で最も重視しているのは「迅速性」、スピード感をもって仕事を進められる力です。USJでは、日々さまざまなイベントが行われ、新たな取り組みが始まっています。経理財務としては、こうした現場の状況に寄り添い、彼らのスピードに遅れずについていくことが常に求められています。もっと言えば、彼らをリードするくらいの速さを出せたらと考えています。

そのスピード感と関連して、「簡単にNOと言わない姿勢」が極めて重要です。マーケティングやオペレーションなど各部門が「チャレンジしたい!」と思っていることに対して、どうしたら良い環境や条件でチャレンジできるのかを一緒に考え、彼らを後押ししていただきたいのです。なぜなら、経理財務が現場を後押しできなければ、会社やパークのクルー、そしてゲストにも笑顔が増えないからです。その意味では、経理財務がUSJのビジネスを左右している面があります。資金繰りや法規、会計基準といったビジネスの裏側にあるインフラを整備し、現場が安心してやりたいことができる、それを縁の下で支えるのも私たちの大切な仕事です。ただし一方で、「してはならないこと」を彼らにきちんと伝え、不正防止対策、コンプライアンス、リスクマネジメントを冷静に推進するのも経理財務に課せられた役割、会社を守るための重要な役目です。

最後に、これからコントローラーやCFOを目指す方にメッセージをお願いします。

私は、経理スタッフとして最初に勤めた日本テキサス・インスツルメンツで、会計知識、技術面だけでなく、根本的な経理パーソンの基礎、働く上での重要な姿勢を仕込んでいただきました。特に、今でも肝に銘じているのは「Do it right at first !(最初から正しく仕事をしましょう)」ということ。当たり前に聞こえるかもしれませんが、最初にきちんとゴールを設定して、そこに向かって丁寧に仕事を進めていくことが大事なのです。ところが、やみくもに走って失敗したり、後戻りをしたりする人がけっこう多い。それを減らすことが肝要です。これが第一にお伝えしたいことです。

第二に、経理にとって重要なのは、仕訳作業を大量に経験することです。野球選手がいろんな場面を想定しながら素振りをするのと同じように、日々仕訳を行うことで、自然とさまざまなケースへの対応の仕方が身についてくるものなのです。これを経理の世界では「仕訳1,000回」と言います。この仕訳1,000回の経験が、経理マネジメントになる上でも大きな拠り所となるのです。私は「仕訳がビジネスにつながり、ビジネスは仕訳に戻る」と考えています。ところが、最近はBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のような会計業務の海外流出やグローバル企業における経理会計業務の世界的統合、シェアードサービス化などで、日本国内で仕訳を大量に経験できる場が減っています。これは将来のことを考えると、個人的には大いに危惧しています。(なお、USJでももちろんBPOは導入していますが、まだまだ経理実務、業務を豊富に経験できます!)

第三に強調したいのは、「一つ上のポジションの視野に立つこと」の重要性です。私はよく「仕事を、会社をしょっているか(=背負っているか)?」という言い方をしますが、これは言い換えれば「会社視点」で物事を考えているか、ということでもあります。経理・財務部員だからといって経理や財務業務だけをしていたら良いのではなく、目の前にある案件を「ひとごと」ではなく、「わがこと」と考え、どうすればビジネスや組織に貢献できるかを早くから意識しなくてはならないのです。新人であればいち早くリーダーの視点を取り入れていただきたいと思いますし、今回募集する経理マネジャーの方にも常に上位マネジメントの目線で物事を考えていただきたいと思っています。

最後に、「学び続けること」の大切さをお伝えしたいと思います。私は以前EMCジャパンというアメリカ系IT企業で働いていたときに、エンロン社やワールドコム社の不正にともなう、2002年のUS-SOX法の成立よって、上司であるアメリカ人CFOや本社、世界各国の経理マネジャーなどとSOX法適用の大プロジェクトを数年かけて推進しました。海外の多くの人たちと議論、協業しながら、ワールドワイドで内部統制のプロセスとルールを構築していく。ルーチンワークと並行してのプロジェクト推進ですから、多忙を極め、本当に大変でしたが、今思えばかけがえのない良い経験になりました。一方、この後、個人的に2年かけて都内の大学院でMBAを取得することになるのですが、その際に、今度は日本における監査学の権威であり、金融商品取引法を作られた教授からJ-SOX法ができていく様を直接オンタイムで受講し、学術的な側面からの薫陶を受けるという機会にも恵まれました。日米のSOX法の導入を間近で学び、経験できたことは本当に幸運でした。やはり成長し続けるためには、いくつになっても学ぶ姿勢を忘れてはならないと思っています。

特に、アカウンティング、ファイナンス領域で力を磨いていきたい方にとっては、実務をこなしながら、同時に体系的に学び知識を構成し、実践に生かす機会を積極的に作っていくのも大切です。日本CFO協会が用意している試験項目は、実務に裏付けされた内容で有用な内容だと感じますし、セミナーなども同じ世界に生きる方との交流を通じ生きた知識が学べる貴重な経験になると思います。

【ユー・エス・ジェイの概要】
世界トップクラスの消費者理解・顧客満足・感動を追及し、常に新たなチャレンジを続けるマーケティングliveの企業。

  • 設立:1994年12月
  • 従業員数:900名
  • 資本金:50,000百万円
株式会社ユー・エス・ジェイ ファイナンス・インフォメーションシステム本部 経理・財務部 部長 曽我部 元之氏

大学卒業後、日本テキサス・インスツルメンツから経理キャリアをスタートし、FP&A、原価計算、経理をベースにした営業企画に従事。その後、内資・外資企業を経て、2002年EMCジャパンに入社し、最終的には財務経理本部長に昇進。その後、シスコシステムズを経て、2010年7月から現職。

  • 経理マネジャー(課長、または課長代理)

    年収:700万円 〜 900万円

    勤務地 大阪
    業種 流通・小売・サービス > サービス
    エンターテイメント > 映画・音楽
    エンターテイメント > その他
    職種 管理 > 経理

担当ヘッドハンターの目線

八尋 弓枝氏株式会社リクルートキャリア コンサルタント

1994年株式会社リクルート入社。新卒および中途採用、従業員教育の分野で小規模企業から大手企業までを担当。事業部内でのトップセールス半年間連続など、アワード受賞多数。その後、株式会社リクルートエグゼクティブエージェントにて、役員等マネジメントクラスのキャリアサポートおよびリクルーティング(コンサルタント)を経て、2009年より経理財務領域を担当している。

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