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2019.10.09

CFOとして転職するには?求められる役割と必要スキル

株式会社コトラ
シニアコンサルタント 枝松 健志氏

新卒入社した銀行で大手・中堅企業の融資・審査業務を担当。ベンチャーキャピタル(VC)に転職し、複数の投資先でCFOなどのマネジメントを通じて内部統制や上場準備を経験。株式会社コトラでは経営幹部人材やバイアウトファンド、ベンチャーキャピタルの転職支援を行う。

コンサルタント 高橋 美保氏

新卒入社した東証一部上場メーカーの経理として、連結決算をメインで担当。税理士法人を経て、中小企業の経理財務部の課長職に従事。株式会社コトラでは事業会社の管理系部門、監査法人、税理士法人の転職支援を行う。

企業の最高財務責任者であるCFO(Chief Financial Officer)。財務状況の管理や資金の調達、場合によってはIPOなど、企業の成長を左右する重要なポジションですが、CFOに転職するには、どのような経験・スキルが求められるのでしょうか。

そこで今回は、金融、IT、コンサル、製造業、経営幹部層の転職支援を行う株式会社コトラのシニアコンサルタントである枝松 健志氏と、コンサルタントの高橋 美保氏にインタビューし、CFOに求められる役割や転職事例をご紹介いたします。

CFOに求められる役割と必要スキル

一般的に「財務の責任者」「資金調達を行う」というイメージが強いCFOですが、求められる役割と必要スキルには大きく分けて3つのタイプがあります。

経理スペシャリストCFO

企業活動をした結果を数字にし、決算書類を作成する役割です。上場企業と未上場企業で求められるスキルは異なりますが、レポートを作成するための管理会計や予実管理の知識は必須となります。上場企業であればIFRSやUS-GAAPなど国際会計基準の知識、海外に子会社がある場合は英語力も必要となります。中小企業の場合は日本国内の会計基準の知識にプラスして、銀行との関係性を構築できる対人能力も重視されるでしょう。

<活かせる経験>
経理実務を理解し、決算業務を行う役割なので、転職事例として多いのは、監査法人ご出身の方や、監査法人を経て事業会社のCFOの下で経理をご担当していた方などが中心です。

資金調達に強いCFO

企業の成長にとって「資金調達」は重要な役割を担います。資金調達には大きく分けて2つあり、金融機関からの「借り入れ」や「社債発行」による資金調達と、「株式の増資」による資金調達があります。どちらも難易度は高く、「借り入れ」の場合は契約書に記載される特約事項(コベナンツ)を意識し、財務や損益状況をコントロールして不利な局面に陥らないように運営するスキルが求められます。

「株式の増資」による資金調達の場合は、「借り入れ」とは異なり、資金を返済する必要はありませんが、一方で、経営権の一部である議決権を渡すことになるので、調達する金額と議決権のバランスを取らないと、企業経営に重大な影響を及ぼします。これを「資本政策」と呼びますが、ただお金を集めるだけでなく、経営とのバランスを考えた資金調達を実現できる力が重要となります。

<活かせる経験>
様々な転職事例がありますが、典型的なのは、銀行やベンチャーキャピタルで逆の立場で融資や出資の経験をお持ちの方です。お金を貸す側の事情を熟知しているので、「借り方」の腕を買われるケースが多いようです。

経営企画的なCFO

企業活動を数値化して正確に報告するのが経理の役割ですが、これからのCFOには、数値を報告するだけでなく、企業の実態を把握し現状の課題と改善策を経営陣に提示し、KPIに落としてPDCAを回すことができる“経営企画”的な役割が求められると考えています。

その背景にあるのは、ファンドと事業承継案件の増加です。高齢化に伴う後継者不在のオーナー企業が急増しており、バイアウトファンドの投資先となっています。こうした企業の多くは、「数字は会計士に任せて細かく見ておらず、投資会社が求めるレベルの数字管理やレポーティングができる人材が社内にいない」という特徴があります。企業のバリューアップのために、実態をきちんと把握して投資会社が求めるレベルで正確な数字を出し、できれば改善策を提示し実行管理する“経営企画”の役割を担うCFOの求人が、今後は増えていくと思います。

<活かせる経験>
実際の経理業務はメンバーが行うため、数字を分析して改善策を提案、実行管理する役割が求められます。戦略系や経営企画系のコンサルティングファームご出身の方や、大企業の企画部門にいた方が中小規模の企業でCFOとして転職する事例が多いです。

――なお、CEOやCOOは同じ業界や類似した業界出身者を求める傾向がありますが、CFOの場合は出身業界にこだわるケースは多くはありません。ただし、業績把握をするために、ビジネスの特徴を理解している必要はあります。例えば外食産業のCFOの場合、必ずしも外食産業のご出身でなくても構いませんが、アパレルなど外食産業と同じ店舗型ビジネスのご出身で、1店舗あたりの損益分析に長けているとか、メーカーのCFOの場合は原価計算ができるといった、ビジネスの特徴が似ている業界の出身者を求められる傾向はあります。

自分に向いているCFOポジションの探し方

CFOに求められる役割は、企業によって様々です。実際の決算業務を担ってほしい企業もあれば、経理業務はメンバーに任せて管理部門の責任者を求める企業もあります。「キャッシュフロー分析や資金調達がメインだと思って入社したら、決算資料の作成も任せられた」「財務部門の責任者だと思って面接を受けたら、実は管理部門全体の責任者で、法務や人事スキルも必要だった」など、役割が広いだけに誤解も生じやすい傾向があります。求人に記載された具体的なスキルとご自身のバックグラウンドとの共通点を、しっかりと確認しておきましょう。

ただし、CFOは経営陣の一角として活躍が期待されるポジションのため、スキルの確認だけでなく、社長の人物タイプや経営陣の役割、部下となるスタッフの人数や役割分担、自分が発揮すべき仕事なども事前に把握しておかないと、入社後にギャップを感じることになります。こうした情報は求人には記載されていない可能性が高いので、企業の事情をよく知る転職エージェントに具体的な話を聞いておいた方が良いでしょう。

CFO未経験でも条件次第で転職は可能

我々がご紹介しているのは、基本的にはCFO実績をお持ちの方ですが、未経験でも実力とチャレンジしたい気持ちがあって可能性を感じた場合は、積極的に企業にアピールしたいと考えています。

伸び盛りのベンチャー、スタートアップ企業の場合は、完成された方よりもカルチャーに共感して一緒に成長してくれる方を重視する傾向にあります。もちろん上場を目指すとなれば、会計が分かるCFO経験者で内部監査体制を作って…となりますが、外部の会計専門企業を上手に使うという方法もあるので、会計知識にはこだわらず、論理的思考や分析力、優れた人柄が評価されてスタートアップ企業のCFOに転職した事例もあります。経営の主体者として責任あるポジションを目指したい方は、CFOというキャリアを選択肢のひとつにしてみてはいかがでしょうか。

●CFOを目指す方へのメッセージ

経理職の最終的なキャリアの到達点はCFO。若手でこれから「CFOを目指したい」という方は、会計の知識・スキルを身に付けるとともに、「投資家」「銀行」「経営者」の3つの視点で会計の数字を見る癖をつけると、よりCFOに近づけると思います(高橋氏)。

CFOに求められることは決算や資金調達など様々ですが、「お金を扱う」ということは経営の根幹を任せられるということ。経営に参画できるのがCFOの醍醐味です。これまでのバックグラウンドを活かして、ぜひトライしていただければと考えています(枝松氏)。

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