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2020.02.05

転職すべきとき、留まるべきときの具体的判断軸

前回もお伝えしました通り、過日2019年12月に、キャリアカーバー主催の登録者の皆さま向けセミナーで講演をさせていただきました。
転職すべきか?留まるべきか?ミドル世代の成功キャリア術」というテーマで、当コラム読者の皆さんにもご興味あるところだと思いますので、前回と今回、この講演に関連してのお話をお届けします。講演にご参加頂いた皆さんには、先日のお話の補足にもなりますので、ぜひ併せてお読みください。

前回は「そもそも、人材価値はどう推し量られるのか」についてご紹介しました(VOL.17「外部招聘される人材となるための原理原則」)。今回は「どのようなときに転職すべきで、どのようなときに現職に留まるべきなのか」について考えてみます。

留まるべきか、動くべきかを決める3つの要素とそれぞれのパワーバランス

そもそも、転職すべきか、現職に留まるべきかについて考える際、どのような要素を検討すべきか?
それは大きく、次の3つから成り立っていると考えてよいでしょう。

「自身の経験・スキル」「自社(事業)の処遇」「市場・事業環境の可能性」

転職すべきか、留まるべきかは、この3つのパワーバランスで決まります。その関係性をみてみましょう。

「自身の経験・スキル」>「自社(事業)の処遇」=新天地へ
「自身の経験・スキル」<「自社(事業)の処遇」=留まる

「自身の経験・スキル」>「市場・事業環境の可能性」=新天地へ
「自身の経験・スキル」<「市場・事業環境の可能性」=留まる

「自社(事業)の処遇」>「市場・事業環境の可能性」=留まる
「自社(事業)の処遇」<「市場・事業環境の可能性」=新天地へ

現職にて、ご自身の経験・スキルに応じた処遇を得られているか否か。もしかしたらアウトプットよりも過分に処遇を得ているかもしれません。
ただし、これをご自身だけで客観的に正確に知りレビューすることはなかなか難易度の高いことでもあります。キャリアカーバーなどの転職サイトであなたの職務と同等と思われる案件を複数閲覧しその年収レンジを見てみるというのも一つの手でしょう。より正確に相場を知るためには、ぜひ信頼できる人材エージェントやヘッドハンターに相談、FBを貰うことをお薦めします。
もしその結果、あなたの処遇が保有する経験・スキルに対してどう考えても著しく満ちてないならば、新天地へのチャンスです。あなたの経験・スキルを今より高く処遇してくれる企業が存在するでしょう。

現職を取り巻く市場環境、事業環境があなたの力を発揮するに足るポテンシャルを持っているか否か。
持てる力をこれ以上発揮しようのない市場環境、事業環境であるとしたら、あなたの経験・スキルをより大きく発揮し、更なる向上を目指せる市場・事業環境を求めることは、今後のあなたのキャリア拡大のためには非常に重要なことであると言えます。

また、あなたがいま所属している企業、事業の状況(処遇)が、属する市場との比較で、優位であるならばこれからも自社で頑張ることが自身にとっても可能性優位に働きます。
市場環境よりも自社が劣っているならば、同じ市場の勝ち組競合への移籍も一考に値すると言えます(競合禁止や企業倫理に抵触しないかは当然、充分に留意する必要がありますのでお気をつけください)。その際留意したいのが、先に見た「自身の経験・スキル」と「自社(事業)の処遇」のパワーバランスと「自身の経験・スキル」と「市場・事業環境の可能性」のパワーバランスです。
私がよくお手伝いする力ある幹部の方のケースには、ご自身の経験やスキルは非常に良いものをお持ちであり担当事業や職務においては良いパフォーマンスを出されているものの、会社全体としてはあいにくと市場内での優位性を確保できていないところからの脱出パターンが多くあります。ぜひこれに当てはまる方は、積極的に新天地を求めてみてください。
あるいは異分野で、ご自身の経験・スキルと市場可能性や転職先の処遇とのパワーバランスが自分に優位に働く場への移籍を検討することは望ましいオプションとなります。

実は大事な「もう1つのこと」がある

既にお分かりかと思いますが、軸は「自身の経験・スキル」の将来期待価値です。

現在の環境がそれを毀損する可能性が高いのか?
成長機会が得られる可能性がないのか?
逆に自分がもっと現環境から得られることはないのか?
自分の働きかけが欠けているということはないか?
場を変えることで自分のバリュー発揮可能性が下がったりしないか?

とかくこうした検討の際に、現職のプラス・マイナス面については色々と思案をするものの、いざ転職するとした場合に、その行き先における特にマイナス側面の確認・検討が不十分なことが少なくありません。
いざ「動こうか」という際には、動くことでのプラス側面もマイナス側面も、冷静に確認したいですね。

さて、転職すべきか、留まるべきかは、「自身の経験・スキル」「自社(事業)の処遇」「市場・事業環境の可能性」の3つのパワーバランスで決まるというお話をしてきましたが、実は、この3つのパワーバランスと並ぶ、非常に大事なもう1つのことがあるのです。

それは、「企業の風土との相性マッチング」です。
大げさに聞こえるかもしれませんが、どんなに3つのパワーバランスがあなたに優位な状況であったとしても、ご自身が所属する企業・組織のカルチャーとのマッチ度合いが欠けていたとしたら、中長期的に見てあなたのキャリアが望ましい方向に展開していく可能性は著しく低くなることでしょう。そもそもそのような状況であれば、あなたは毎日があまり楽しいものではないでしょうしね。

過日のキャリアカーバー主催セミナーでもご紹介したのが、図(「候補者」と「企業・ポジション」の接合点確認ポイント)のような構図です。

「候補者」と「企業・ポジション」の接合点確認ポイント

転職活動中の皆さんには、ぜひこのようなご自身と現職/転職先とのフィットについてしっかりと確認していただければと思います。そうすれば、転職するにせよ、現職に留まるにせよ、場の選択ミスということは基本的に回避できますからご安心ください。

最後にひとつ

そもそもご自身の転職活動動機が「積極的、不満解消マインド」「ビジョン達成マインド」であるのか、あるいは「消極的、回避・逃避マインド」であるのかで、その後の仕事人生のみならず人生全般は、大きく分岐することになるのです。(どちらが望ましいかは、言うまでもありませんね。)

ではまた、次回!

株式会社 経営者JP 代表取締役社長・CEO
井上 和幸(いのうえ かずゆき)

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。

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