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2019.07.09

自分がなぜ不採用? 中高年に立ちはだかる「転職の壁」

若手の人材不足と中高年の余剰が同時発生

「自分の経験値やスキルには自信があるが、何社受けても不採用になってしまう」
「求人情報に書かれた応募資格は満たしていても、書類選考すら通過しない」
これらは、転職のご相談で“その道数十年”の40代・50代のベテランの方々とお会いしていて、ひんぱんにご相談を受ける内容です。なかには、70歳を超えても「ぜひ世の中に恩返ししたいので給料はいらないから、貢献できる場所が欲しい」とおっしゃる方もおられます。熱く、前のめりの姿勢で、意欲も健康面も、まったく問題ない方であっても、現実には45歳を超えると非常にシビアな壁があることは事実です。
実際に中高年の転職を阻む壁の構造はどのようなものなのでしょうか?


60歳定年制の企業もまだまだ多い現状では、55歳を超えると定年までカウントダウンとなります。ましてやプロパー社員であっても60歳以上の雇用延長を歓迎したくない本音を持つ企業では、わざわざ外部から50歳前後の人材を迎え入れるということが最初から選択肢になりえない、というのが実態かもしれません。


ごくまれにピンポイントで転職成功された方のお話をお伺いすることがありますが、海外進出にあたって、どうしても中東地域の商習慣に長けた経験者が必要になり、50歳の海外支社長として駐在経験者が採用されたケースや、国際会計基準に対応するためにIFRSでの財務報告に経験豊富で習熟した55歳の経理財務部長など、ニッチな経験がぴったりとはまる「スペシャリスト採用」のケースが多く、営業など採用予定人数が多い領域では若手のゼネラリストに偏重してしまうというパターンが多くなってしまいます。


その結果、優秀な“若手”人材が足りない!と言っている一方で、専門性のない“中高年”人材が余剰している、という企業が多くなっています。年齢層という課題を除けば、非常に不思議な二律背反の構造になっています。

5年後の市場価値から逆算して動く

市場経済は、あくまでも需給の関係に影響されます。いくら品質がよくても、豊作になりすぎると野菜の価格が急落してしまうように、需要に対して供給が過剰になると相対的に価値は低下してしまいます。また、キャリアの場合は、長い時間をかけて積み上げてきた経験やスキルであっても、技術の進化によって需要そのものが消滅してしまうことも多々あります。


こういう性質を持った、転職市場において、中高年が生き残っていくために、どのような方策があるのでしょうか?


残念ながら、先行きが見えない時代、正解がない時代において、100%保証されたキャリア構築術は存在しません。しかし、どうすれば、リスクを下げられるのか、というヒントはあります。


まずやるべきこととしては、市場の需給を読み、需要が高まりそうなスキルを身につけるか、あるいは自分の経験の中に、今後伸びていく需要にフィットするものがないかを確認し、それを再度磨き上げることです。
これはキャリア構築の原理原則といえるものですが、手持ちの経験値やスキルが豊富になればなるほど、「今後需要がある領域に照準を合わせてスキルを磨く」ことよりも「持っているスキルを活かせる場所を探す」ことに目がいってしまうため、ベテランになればなるほど対応が遅れやすくなるリスクをはらんでいます。


次に考えたいことは、自分自身の変化に合わせた準備です。
具体的には、自分の5年後の市場価値がどう変化するかに着目し、5年後の未来から逆算したキャリア設計を行うということです。


とはいえ、5年後の自分の市場価値を予測する作業自体がとてもむつかしいのも事実。
そのためのヒントを以下にお伝えします。
以下の4つの視点で、自分の5年後の状況を考えてみてください。

年齢による変化→自分の体力や気力が5年後にどう変わっているか?
価値の変化→自分が保有する経験やスキルの質量が5年後にどう変化しているか?
需要の変化→自分の職域や業界で、自分自身のキャリアの需要がどう変化しているか?
組織構造→5年後の自分の年齢は、組織においてどのような構成比の存在になるか?


4つの観点は理解できるが、5年も先のことをどう予測するのかがわからないという方も多いと思います。おっしゃる通り、現在から未来を予測するのは、簡単ではありません。


その場合は、まず、「現在と5年前(2014年7月頃)」の変化差分を、上記の4つの観点で思い出しながら整理してノートに書き出してみてください。
それができれば次は、「現在と10年前(2009年7月頃)」のギャップも同じように整理してみてください。


これができたら、少なくとも「10年前の自分」→「5年前の自分」→「現在の自分」までの変化のプロセスが簡易的に可視化されるはずです。過去から現在までの3つの時点での変化が「見える化」できたら、その延長線上の5年後、2024年7月頃の自分自身の姿が考えやすくなるかもしれません。


こうやってうっすらと見えてきた未来の自分像に、納得感を感じられるかどうか?が起点です。
その状況が、自分の理想に近い自分像なら素晴らしいことです。
でも、その未来シナリオに満足がいかず、何らかの変化を加えて、より市場価値を高めたいとしたら、何をどうすべきか?
あるいは、その未来像とはまったく違う方向に自分を作り変えたいとしたら、何をどうすべきか?


たとえば上記のような方法で、先手を打って、ご自身のキャリア形成の参考にしていただけたら幸いです。

ルーセントドアーズ株式会社代表取締役
黒田 真行(くろだ まさゆき)

日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。2019年、ミドル・シニア世代のためのキャリア相談特化型サービス「CanWill」を開始。
「CanWill」https://canwill.jp/
「Career Release40」http://lucentdoors.co.jp/cr40/

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