このエントリーをはてなブックマークに追加
2019.01.16

「モノ軸」「コト軸」「ヒト軸」、 自分の可能性を広げるためのキャリアのものさし

自分の可能性を広げる条件設定の重要性

日々、多様なキャリアをお持ちのミドル世代の方々とお会いしていると、転職先選びは人それぞれの価値観が色濃く反映していることを痛感します。また、お会いした皆さん一人ひとりの価値観や視点を集めて括りなおすと、いくつかの傾向があることがわかってきます。今回は、仕事選びや会社選びの視点について掘り下げてみたいと思います。

転職相談でお会いすると、最初に、転職を考えることになった理由や背景を伺い、次にご希望の条件(業種や職種、待遇や働き方など)をお伺いするのですが、この段階で、ご希望条件が明確に決まっている方と、条件を明確に決めきれていない方に大別されます。経験が豊富で、成功体験も数多く持っている方ほど、希望条件が詳細まで固まっている傾向があります。

「これまで積み上げてきた経験を生かしたいので、製造業の購買で求人はありませんか?希望年収は現年収1,200万円と同水準かそれ以上。エリアは通勤の事情もあるため、できれば品川から東京の間でお願いします。企業規模は多少小さくなっても問題ありません」

という、いわゆる「モノ軸」のパターンです。 方向性があいまいでどう探せばいいかわからない、という方に比べると、自分の中で希望条件をしっかり検討されておられているので、たとえば求人サイトを使う際にはとても検索しやすいはずです。

ただ、その条件が、転職市場の需要と一致していなかった場合には、求人が見つかるまでに極端に時間がかかったり、求人が出てきても競争率が3ケタに上ったりして動くに動けず、選択肢を減らしてしまうリスクがあります。そもそも希望条件(業界・職種・給与・勤務地・休日など)が、複数にわたって掛け算されていくほど、対象となる求人は減少していきます。

需要が豊富にある場合には、条件が明確であればあるほど、経験値を高く売ることができますが、実際にはそうでないことのほうが多いのが現実です。

可能性を広げる「コト軸」の選択肢とは?

ベテランで経験が豊富な人ほど、業種や職域などが限定されて当然、と思われている方も多いのですが、実際にはベテランになるほど、専門知識や専門的なスキル以外の、汎用的なスキルも高まっているので、異業種や異職種でも、予想外に市場価値が高くなるケースもたくさんあります。

「長く深く人間関係を構築していけて、かつ利害調整折衝のスキルを生かせる仕事を希望しています。メーカーや商社などの業種はあまり気にしませんが、お客様の要望がダイレクトに返ってくる環境かどうかは重視しています。初年度の年収は下がっても、実績によって報酬が上がっていく可能性さえあれば、がんばっていけると思います」

これが、自分が大切にしている「コト軸」で“可能性”を探している選び方の事例です。
具体的に特定している条件は少なく、多少抽象的であっても、自分の力量が発揮でき、どんな貢献ができると嬉しいのかがはっきりわかる表現となっています。エージェントとしても、その人の価値観をしっかり把握することができるので、考え方やキャラクターも含めて、総合的にその方と相性が良い経営者をイメージすることが可能になります。

「私の現職の経験や待遇が●●だから、それ以上の条件の求人を探してほしい」というご依頼は、検索だけでサーチすることができますが(むしろそれ以上は何もできない)、「コト軸」で仕事を探している方は、検索では発見できません。しかし、その分、相性がぴったりフィットした、まさにエージェントならではの結びつけ方で多様な可能性を提案することが可能になります。

転職活動の3つ目のモノサシ「ヒト軸」とは?

もうひとつのモノサシが「ヒト軸」です。

「過去自分がやってきたことや、自分の中での満足度が高かったシーンを思い返してみると、“何をやるか”ということや“どのようにやるか”ということではなく、“誰とやるか”ということに一番大きな意味があることがわかってきました。今回の転職活動もその方針に戻って、自分が心から『この人と一緒に仕事がしたい』と思えるビジョンや哲学を持った人を探すことから始めたいと思います」

こういう方は、結局、過去の仕事でのつながりや友人関係などのリファラルな転職方法で転職先を決められるケースが多いですし、実際に私も過去の交友関係を洗い出してみることをお勧めしています。今は関係が途切れていても、特に若いころに、ハードな仕事を一緒にやってきた方々は、根っこで深くつながっていることが多いですし、お互いの強みをしっかり把握できているので、そういう信頼できるルートでの転職は、転職後の満足度や入社後の活躍につながるケースも相対的に多くなります。

ぜひこれらの観点を参考に、孤独で正解が見えづらい転職活動を、少しでも自分の可能性を広げられる充実したものにしていただければ幸いです。

ルーセントドアーズ株式会社代表取締役
黒田 真行(くろだ まさゆき)

日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。2014年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。

Facebookページに「いいね」すると更新情報がお知らせされます。

ページ先頭へ