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2018.03.23

転職すべきか、とどまるべきか、3つの判断基準

「大企業勤務、年収1000万円超、転職経験ゼロ」

転職の相談に来られる方に対して、今すぐの転職をお勧めしないことが時々あります。
特に「現在45歳以上で大企業勤務、年収1000万円超で転職経験ゼロ」という方とお会いすると、まずはじっくりとお話を伺った上で、転職をする前に考えておくべきことをお伝えしています。

 

社内での役割の変更やそれに伴う処遇の低下、早期退職金制度など、ご本人からしてみると「やりがいを感じにくく、居心地もよくない」という理由で転職を検討されるケースが多いのですが、社内での働き心地が低下したからといって、社外でそれが取り戻せる保証はありません。

 

「しまった。こんなはずじゃなかった」と思うことや、「あの時、辞めなければよかった」と後悔する方もおられますので、転職相談の時点でまだ退職しておられなければ、仕事を続けながら転職の相場やリスク分析をしてみることをお勧めするケースが多いのが実情です。

 

「今・ここ・自分」志向の転職はハイリスク

転職した後で後悔する方の傾向として、「今、ここ、自分」志向というものがあります。
この3つのキーワードが先行する状態は、なんらかの焦りを持たれているケースで、通常と比べても視野狭窄(きょうさく)の袋小路にいる可能性があります。


1つめの『今』というキーワードは、「転職した瞬間から、一定以上の役割や報酬を求めてしまう」というケースです。
「転職後すぐ部長以上の役職が欲しい」「入社初年度から前職水準の年収を確保したい」。守るべき家族や生活がある以上、特に経済面での安定性の確保が最優先されることは当然です。ただ、雇用する側の観点からすると、「採用した人が必ずしも自社で活躍してくれるかどうかわからない」というリスクがあります。ぜひ「時間をかけて実力を見てもらい、徐々に報酬を上げていく」という考え方も視野に入れていただければと思います。

 

2つめの『ここ』というキーワードは、重要な選択肢となる、業界や仕事、地域を指しています。

業界や仕事については、「今までやってきた業界」「今まで担当してきた職種」しか選択肢に入らないという“限定型”と、「絶対に考えたくない業界」「検討したくない職種」が多い“食わず嫌い型”があります。「これまで積み上げてきた経験を手放したくない」という気持ちはわかりますが、「自分が気づいていなかった強みが発揮できる機会」や「自分の経験が転用できる機会」まで潰してしまうリスクがあるので要注意です。
地域とは、長く暮らしている地域や通勤可能な範囲に過剰にこだわる“テリトリー型”の活動を指しています。家族の介護など、やむをえないケースもありますが、少し対象エリアを広げるだけで選択肢が格段に増えることもよくあります。

 

3つめの『自分』というキーワードは、「自己の能力を固定的なものとしてとらえていること」を指しています。特定の分野での経験やスキル、知識を豊富に持っていることと、成長の伸びしろは無関係なものですが、経験値が高い人ほど、無意識のうちに上限値を決められている傾向があります。さらに自己評価のズレが重なると、求人を選択する基準にぶれが生じて、自分の力が必要とされる貴重な求人を見落としたり、逆に自分のキャリアが必要とされにくい会社ばかりに応募を続けたりしてしまい、キャリアの迷子になってしまいます。

先に異業界に転職した先輩や、異業種の知人・友人、転職コンサルタントなど、自身のキャリア価値を客観的にアドバイスしてくれる人を複数見つけて、転職市場における自分自身のキャリア価値を把握することを強くお勧めします。

 

不満先行型の転職

最後の1つは不満先行型の転職です。

特に業績不振の結果のリストラなどを宣告されると、「会社が不振になったのは経営陣のせいだ。何十年も歯を食いしばってがんばってきた自分たちには罪はない」という恨み節を言いたくなる気持ちは当然です。しかし、だからといって「だからあの会社に仕返ししてやるのだ」というような気持ちが先行して転職活動をしてしまうと、転職先の状態や、数年後のイメージを持たないまま、腹いせ的に同業他社だけを検討先にするなど、転職先選びの段階で目が曇ってしまうこともあります。


転職活動は、あくまでも自分自身が生き生きと働ける次のキャリアを見つけるためのものであり、それだけを目的に進めたほうが、いい転職が実現できる確率は高まります。
自分自身を大切に、周囲が気持ちよく働き続けることだけを視界に入れつつ、あなた自身の人生にとってメリットが大きい選択をしてください。

 

ルーセントドアーズ株式会社代表取締役
黒田 真行(くろだ まさゆき)

日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。

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