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2018.02.05

転職を決めた 40代課長 3000人のホンネ

40 代課長 3000 人アンケートでわかった転職の 4 大パターン

40 代まで働き、それなりの評価を得て、課長職を務める方々が、いったいどんな理由で会社を辞めて新天地を目指すのか?多様な業界で活躍してこられた方々から転職のご相談を 受ける際に、私が最初にお聞きするのがこの質問です。「キャリアアップをしたい」「新しい可能性を見つけたい」「もっと世の中に貢献したい」など、とてもまじめで前向きな回答をいただくことが多いのですが、じっくり掘り下げていくとやはり本音が見えてきます。弊社にご登録いただいた 3 万人以上の転職希望者の中から、「40代」「課長職」に絞って3000人を抽出し、アンケートを実施し、転職のパターン分類を実施しました。

 

 

パターン① 評価不満型・・・降格・人事異動、評価不満がきっかけに

「前社長のもとで営業責任者として10年間頑張ってきたが、ジュニアの社長に交代した瞬間に自分の役割がずいぶん軽くなってしまった。もう会社への愛情も薄れてしまったので、転職を考えている」(43 歳・食品商社・東京)

退職理由で最も多いのが、この「評価不満型」。全体の6割近くになります。

 

役職定年などを含む降格や、希望しない人事異動、納得できない査定や評価など、「自分はこれだけ貢献しているのに、なぜこんな低い評価をされなければいけないのか?」という悲劇が起こると、人と会社の関係性の修復はきわめてむつかしくなります。

 

パターン② 業績悪化型・・・倒産・廃業、買収、経営者の交代

「業績が低迷した結果、部門を切り離されて外資系企業に買収されてしまった。あっというまに経営方針が一転し、原価の過剰削減など、お客様に対しても申し訳ないと思うことばかりをしなくてはいけなくなった。これ以上は耐えられないので転職活動を進めています」 (44 歳・部品加工メーカー・大阪)

 

景況感がいいと言われている中でも、構造変化の波により、業種や企業によっては静かな地殻変動が続いており、会社を取り巻く環境が変わって転職を考えることになる人は意外に多い のが実態です。インタビューの最初は「人間関係に少し悩んでいて・・・」という人の本音を 探っていくと、このパターンだったということもよくあります。全体の中で 42.3%の方々 がこの退職理由に該当しています。

 

倒産や業績悪化、M&A などは、課長クラスとはいえ、いち従業員としてはどうしようもない不可避の事態であり、それがゆえに「今回初めて転職をする」というビギナー比率も高くなります。早期退職制度で退職金積み増しなどがあり、転職先を決めずに会社を辞めてしまう方も多いのですが、40代の転職活動は長期化することも多く、結果として離職期間が長引き、さらに転職活動が不利になることも多いので、できれば、在職中に転職先を見つけておくことをおすすめしています。

 

パターン③ プライベート型・・・親の介護、疾病・メンタル

「父親が倒れて入院したのをきっかけに母親が認知症に。地元に兄弟もおらず、長男である自分が会社を辞めて故郷の実家で世話をすることになった」(47 歳・金融コンサルタント・ 東京)

「課長になったころから次の出世レースに勝ち残るために、会社からのプレッシャーを背負いこみ、頑張りすぎました。結果的に心身ともに疲れ果てて、うつ病になり休職す ることに。会社は休職扱いとしてくれましたが、さすがに申し訳なく昨年自主退職しました」(40 歳・求人系広告代理店・愛知)

 

40代・課長職で退職する方の14.6%が、このプライベート型に相当する理由です。

 

社内での評価も、人間関係も、業績的にも順調に見えて、ある日突然、自分や家族を襲う「病」という壁。人間であるがゆえに避けられないことですが、ご本人としては非常に不本意で、不完全燃焼感も高い辞め方と言えると思います。

 

会社によっては、長期休職扱いとしてサポートしたり、場合によっては時短勤務や地元近くの拠点への異動などの配慮をしてくれるところもあり、それによって退職を免れたケースもあるようですが、「いつ終わるのか先が見えない」という理由で自発的に会社を去られる方も多くおられます。会社が制度的に支援してくれる状況があるのであれば、それを行使することはご本人の権利なので、いつか恩返しするつもりで、遠慮せずにその機会を利用することをおすすめしています。

 

パターン④ 自己変革覚醒型・・・起業、ベンチャー転職、U・Iターン

「前職の部下が立ち上げたベンチャーの理念や目標に衝撃を受けるほど共感した。手伝ってほしいと頼まれた瞬間にこれだと思い、管理部門は任せろと受けました。年収は 3 割以上下がりましたが、後悔はしていません」(43 歳・ビジネス向け IT サービス・東京)

「45歳の時に子供が生まれたことがきっかけで、将来のことを考えたら、あと 15 年で実質定年になる会社勤めより、昔からやってみたかったビジネスで起業するチャレンジを選択しました。まずはその業界の基礎知識を身に付けるために期間限定の契約社員でもいいから最長 2 年間は丁稚奉公してみたい」(47 歳・総合商社→飲食ビジネス志望・福岡)

「業界全体が徐々に沈滞している中で、ここでキャリアチェンジする潮時かと思いました。どうせなら U ターンで、農業再生の仕事に取り組みたいと考えています」(43 歳・家電部品メーカー・神奈川)

もうひとつの退職パターンが、この自己変革覚醒型です。全体の中での出現率は7.2%と,非常に少ないケースですが、何らかのきっかけで、以前からやりたかった夢や、自分本来の生き方を探求して、まったく新しいことにチャレンジをしたいと行動を起こす方々です。「自分で自分の人生を決める」という主体性が高いぶん、モチベーションも満足度も非常に高いのですが、経験のない領域に飛び込むリスクもきわめて高い選択です。だからこそ、一時的な衝動で決断するのではなく、周到な準備や戦略がないと大きな傷を負うので注意が必要です。

 

「不満の裏返し」を意思決定基準にしない

会社を辞めた理由がどうであれ、その決断を後悔しない結果につなげていくために重要な共通点がいくつかあります。退職の理由には、どうしても不可避な理由を除けば、やはり何らかの現状不満が隠れていることが多くなります。 「次の一手」を選択する際に、前職での不満を打ち消すことを目的に、不満の原因となった要素と真逆の因子を選択の基準にしてしまうと、結果的にうまくいかなくなる傾向があるようです。

 

たとえば「評価への不満」がきっかけで会社を辞めた方が「実力を評価してもらえること」を目的に転職した場合に、入社後になって初めて、実際には、ノウハウを欲しがっていただけだったり(ノウハウを吐き出した瞬間に評価が下がる)、組織風土や価値観の違いに気が付いて、再び転職を迫られるというケースです。不満を解消することが唯一の目的となってしまって、他の重要な因子をチェックする気持ちが薄れてしまうことが原因のようです。

 

今後、会社を辞めるかもしれない方には、そのような事態を回避するためにも、「前職を辞めた・辞める理由」とは全く切り離して、自分が主体的なモチベーションを長く保ち続けられるために重要な要素を洗い出し、重み付けをして、意思決定の基準にしていただくことをおすすめします。40 代での転職には、まだまだ残り 20 年という長い仕事人生が待っています。400万社を超える企業の中のたった 1 社を辞めたことよりも、自分の人生を自分のものと実感しながら、気分よく働き続けられることが何よりも重要です。

 

ルーセントドアーズ株式会社代表取締役
黒田 真行(くろだ まさゆき)

日本初の35歳以上専門の転職支援サービス「Career Release40」を運営。1989年リクルート入社。2006~13年まで転職サイト「リクナビNEXT」編集長。14年ルーセントドアーズを設立。著書に本連載を書籍化した「転職に向いている人 転職してはいけない人」など。

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