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2015.02.01

「結局なぜ潰れないのか」忘れた人に! 2005年ベストセラー書籍『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』

日本企業の国際化が叫ばれる中、これからのビジネスパーソンにとって「IT」「英語」「財務」は必須スキルです。しかし、財務や会計といった分野を学ぶのは、初心者にとってなかなかハードルが高いもの。

そこで思い出してほしいのが、2005年のベストセラー『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』です。本書では、「頻繁に売れるとも思えない『さおだけ』を販売するさおだけ屋がなぜ商売として成り立っているのか」「ベッドタウンのど真ん中に高級フランス料理店が鎮座している謎」など、卑近な例を交えて会計の本質を明らかにしています。まさに、入門書中の入門書といえるでしょう。

要約

会計の本質は「目に見えないものを数字にして可視化する」ということです。傍から見ると「どうして儲かっているんだ?」と首を傾げてしまうような商売や、大盤振る舞いのように思える広告も、会計の本質を理解していれば儲けのカラクリを暴くことができます。 また、これは数字のセンスを身に付けることにもつながるので、企画やプレゼンにも応用可能。ビジネスパーソンとして、周りと差をつけられることでしょう。

読み応えのあるポイント

言われてみれば誰もが気になる「商売の謎」を通じて会計の本質を学べる

スピーカーからおなじみのテーマソングを流しながら、方々でさおだけを売る「さおだけ屋」。一般的にさおだけのニーズは少なく、わざわざさおだけ屋が通りかかるのを待って購入するメリットもありません。それなのに、全国展開できているのは一体なぜなのでしょうか?

この謎を解明するために、本書では会計の考え方を利用します。具体的には、「利益を出すには『売り上げを上げる』もしくは『費用を減らす』のが商売の基本」という観点から「さおだけ屋は、実は単価を上げて売り上げを増やしていた」「仕入れの費用がほとんどゼロの副業だった」という2種類の仮説を立てるのです。

また、さおだけ屋のみならず、のどかな住宅地のど真ん中に店を構える高級フランス料理店についても「連結経営」という視点で儲けのカラクリを解き明かしています。一見お客さんが全く入っていないように見えても、「高級料理店」という箔を活かした副業で売り上げを上げる、つまり主業と副業を「連結」させることができれば、十分経営を成り立たせることができるのです。

最近は週末起業などで副業に勤しむビジネスパーソンが増えていますが、これも「連結経営」のひとつの形といえるのではないでしょうか。

ビジネスだけでなく、家計管理や飲み会などプライベートでも会計の考え方を利用できる

「会計的に数字で考える」癖をつけ、数字を使って分析するようになると、経営センスが身に付くだけでなく、賢く家計管理もできるようになります。

たとえば、「損をしないために在庫を減らす」という考え方。ドラッグストアなどで度々行われている「在庫一掃セール」のお世話になったことがある人は多いのではないでしょうか。 小売店では、「棚卸減耗損(在庫の破損、紛失などによる損)」や場所代、人件費を抑えるため、「在庫は悪」という認識があります。その鉄則を家庭でも応用すれば、溜まりに溜まって部屋のスペースを圧迫している衣服や、冷蔵庫の電気代を余計に食っている賞味期限切れの食材などを次々に処分できるはず。

最近ブームになった「断捨離」や、2015年新語・流行語大賞の候補となっていた「ミニマリスト(最小限のモノで暮らす人)」の背後には、こうした「在庫コストを減らす」という働きがあったのかもしれません。

数字のセンスを身に付けることができる

会計における分析の基本は、全体の数に惑わされることなく「1単位あたりの数」を算出し、他の数字と比較することです。 たとえば、「購入者の50人に1人、無料キャンペーンを実施中!」という文言を見て「おトク!」と思うか、割引率を瞬時に計算し、「100人に2人しか当たらないのか、じゃあ割引率で考えればたったの2%だな。だったら確実に5%割引してもらえるところで買おう」と結論づけるかで、数字のセンスの良し悪しが分かります。

数字のセンスを体得することで「一見ウマい話」に騙されないだけでなく、逆に数字の持つ説得力を駆使して、企画やプレゼンで高い交渉力を発揮することもできるでしょう。

数字が苦手な読者にとっても理解しやすく読みやすい

「いくらビジネスやプライベートに応用できるといっても、やっぱり会計って数字に強くないといけないんでしょ?」「計算式を見ただけでも拒否反応が起きる」という人も、心配ご無用。著者は公認会計士でありながら、大阪大学文学部史学科という、文系の出身なのです。

そんな著者は、会計を学び、実践していくには常に数字に向き合う必要があるものの、四則計算さえできれば問題ないと断言しています。もちろん、本書に登場する会計理論も、ごくごく簡単な加減乗除の式で表されているので、誰でも理解しやすいでしょう。

このように本書では、意外な商売のカラクリや、ビジネスから家庭にまで使える分析スキルを学べます。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』は、会計の入門書というだけではなく、優れたビジネス書でもあるのです。

こんな人に読んでもらいたい

・会計初心者の人、あるいは会計について学んでいたが、専門書は難しくて挫折したことがあるという人
・経営のセンスを身に着けたい人

併せて読んでほしい本

『食い逃げされてもバイトは雇うな』『「食い逃げされてもバイトは雇うな」なんて大間違い』といった同シリーズの書籍はもちろんのこと、会計に興味の湧いた方には、同じ著者の手がけた『新装版 世界一やさしい会計の本です』がおすすめです。

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