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短期離職(「仕切り直し転職」)のディスアドバンテージ、どう挽回すればよいか?その3つの具体策

2019年以降に転職されたミドル層やシニア層の方の短期離職(私はこれを「仕切り直し転職」と呼んでいます)が非常に増えています。

そもそもはこの5年程での40歳以上の方々の転職の裾野が大きく広がったことで、転職する側も採用する側も残念ながら、その層での転職/採用に関しての経験値不足からのミスマッチが発生しているのであろうということ。さらには新型コロナ感染拡大後のこの1年間、オンライン採用でのすり合わせ不足、また入社後の立ち上がりについてオンラインワークによる難しさやコミュニケーション不足が発生しやすくなっていることに起因していると思われます。

そのような皆さんが、次こそはそのようなことがないようにと期して、活発に転職活動をされていらっしゃいますが、そのまま応募に臨むと、企業からは「どうして、こんなに短期間で辞めてしまうの/辞めてしまったの?」「うちに来ても、直ぐにまた辞めてしまうのでは?」と懸念されてしまいます。
応募先企業にこう思われることを認識した上で、では、どう対応しながら転職活動すればうまくいくかについて、考えてみましょう。

短期離職の理由から逃げない

短期離職の方が、よく行いがちなのが、その短期間での離職理由には触れず、数ヵ月〜1年数ヵ月の在籍期間中の業務を「華やかに」職務経歴書に記載されることです。

もちろん短い期間の中でも相応の実績を上げられた方もいらっしゃるでしょう。しかし、マネジメントクラスにある皆さんが管掌されているような組織ミッションについて、おいそれと着手→執行→成果までを数ヵ月や1年で出せるものではありません。多くの場合、入社し引き継いだ組織の動きをご自身が手がけたものとして記載されています。

この辺り、皆さんの選考相手となる応募先幹部陣や社長は当然、それがご本人の成果か、そうでないかは、容易に見抜きます。仕切り直しの転職がうまくいくためにも、そしてご縁があって応募先企業に入社した後に企業側の期待値ミスマッチを起こさないためにも、<盛らない>在籍中の記述が非常に重要です。

また、実績だけ華やかに記載されていて、短期で離職する・した理由が書かれていないと、相手は不審に思うばかりです。当然、選考は進みませんし、時折それをかいくぐって入社された後に、「前職でこれをやったと言っていたじゃないか」「前職ではこれくらいの業績を上げていたはずなのに、なぜ当社では全く成果が出ないの?」というような入社後のトラブルにもなりかねません。(数度の短期離職を繰り返していらっしゃる方の中には、このパターンに陥っている方も少なからずいらっしゃいます。)

まず、こうなってしまったことは仕方ありません。第一にやるべきことは、ご自身のほうから短期離職の理由を、具体的かつ客観的に述べることです。開示されていないグレーゾーンの事項〜この場合、なぜ短期間で退職する・したのか〜については、相手は基本的に良いほうに解釈してくれるということはありません。不明な部分はネガティブに判断、勝手解釈されてしまいます。
ですから、ご自身のほうから、何が起きて、どのような自分なりの対処をして、それでもなお何が解決されないため、今回、短期で退職する・したのか?
これを職務経歴書に端的に記載しましょう。

相手が腑に落ちる離職理由か?あなた自身が充分納得できる結果か?

さて、その棚卸しした短期退職の理由は、応募先の企業・経営者からみて妥当と思えるものでしょうか?

「なるほど、それは大変だったね。残念だったね」と腑に落ちて理解してもらえるものでしょうか?あるいは、「それで直ぐに辞めてしまうなんて、ちょっと問題では?」と思われてしまうようなものだったりはしないでしょうか?

この連載コラムでも以前に触れたことがありますが、私はよく「一事が万事」ということをお話しします。問題が起きた際に、解決しようと努力せずに、そこから逃げてしまった場合、同じことが必ずまた、次の会社でも起きます。ステージクリアしないままに次に進むと、いつまでも同じゲームを解けるまでリプレイすることになるのがキャリアなのです。

敵前逃亡型の転職になっていないか?現社で問題があるとしても、それに十分向き合い切った上での今回の転職活動となっているか?

この段階ではまだ、お一人での個人ワークですから、ぜひ、自分に嘘をつかずにしっかりと振り返り、文章や言葉にして頂ければと思います。ここがご自身でちゃんと納得できるならば 、仕切り直しでの今回の転職活動に自信を持って臨めることでしょう。それは必ず良い結果をもたらします。

反面教師と、これからに向かう姿勢と考え、想い

さて、短期離職・転職を「仕切り直し転職」と私が呼ぶ理由。それは、“起きてしまったことは仕方がない、大事なのはこれから”だからです。

応募先企業からしても、主に知りたいのは、あなたがこれからどうされたいのかの本音です。中でも特に社長というものは、あなたが「現職・前職を出る理由」よりも「次の場を選ぶ理由」を聞きたい生き物です。
面談面接においては、会話の中身を後者に置くことを心掛けましょう。

ここで陥りがちなことは、先の通り、あなたが事前情報(職務経歴書の記載やエージェントからの推薦時の背景説明)を含めて今回の短期転職の理由をしっかり伝えていないと、面接の時間の大半を応募先企業の面接官はその確認に割くことになってしまいます。そして当の本人も、なぜ短期で辞めざるを得なかったのかの説明を、恨みつらみに拍車がかかって長々と演説してしまう。
結果として、相手に残るのはあなたから吐き出された毒だけ…これでは幾らあなたのスキルや専門性に関心があったとしても、応募先企業の採用する気も失せるしかありません。

ご自身のWILLとCANをしっかり伝えること。やはりこれからどのようなことをしたいのか、どのような貢献ができると思っているのか。自信を持って、想いと情熱を込めてお話しできるようにご自身をセットアップしてくださいね。

また、ぜひ接合して欲しいのは、今回の短期離職での反面教師の部分です。「今回、残念ながら、こうした部分でミスマッチが起きてしまいました。だからこそ、次の企業では、それが起きないよう、これとこれを大切にしたい・絶対に外さない場を選択したいと考えています」ということですね。このラップアップがしっかりある方は、受け手側も「ああ、しっかり再発防止の確認と意思決めができているな」と安心できます。

過去に学びのある上での、未来志向。これをしっかり確立して、仕切り直しの面接に臨んで頂ければと思います。

短期間で何度も転職活動をしているようでは、リーダーとしての実務経験を積むこともキャリアステップを踏むこともままならない状況になってしまいます。エグゼクティブサーチを提供している私が言うのも、変に聞こえるかもしれませんが、ミドルやシニアの皆さんが、仕事人生で最も脂の乗ったこの時期に転職活動に少なからぬ時間を割いていることは、とても勿体ないことです。その時間を早く、執行や実務の時間に割り当てて欲しいのです。

ぜひ今回の「仕切り直し転職」で、次の場では少なくとも中期的にご活躍され、大きな成果を上げる選択を実現して頂きたいと願っております。

ではまた、次回!

井上 和幸 氏

株式会社 経営者JP / 代表取締役社長・CEO

井上 和幸(いのうえ かずゆき)

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。