ここから2021年までの間、採用で最優先されるのは「大ナタを振るってくれる」人材となる。

この原稿が掲載される2020年6月5日現在、4月に発令された非常事態宣言は全国で全面解除され、経済再開への動きが各業界ごとに始まりました。新型コロナ感染はどうやらピークアウトし、予断は許さないものの、ようやく収束が見えてきたところですが、経済、企業活動においてはコロナとの戦いはいま始まったばかり。各社はこれから本格的に、「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」での自社事業、組織、経営体制の大再編に奔走することになります。

不要不急なヒトモノカネを一掃し、今後生き残るため、できれば勝ち残るために、「コロナ後の世界」におけるコア・必須のヒトモノカネへのシフト、傾注が始まっています。幹部採用においてもその動きは同様。これから1年、エグゼクティブ採用で最優先されるのは企業活動のどの側面においても「大ナタを振るってくれる」テコ入れ人材となるでしょう。

管理部門におけるテコ入れ人材

こうした危機局面において、概ねの企業がまず強化・テコ入れしたい or する必要性が急浮上するのが管理部門です。
業績急低下に対して当座の資金繰りをなんとかしなければならない。急場を凌ぐ資金調達や借り入れを実現する必要がある。固定費を可能な限り、最大・最短で削り込まなければならない。雇用調整にも踏み切る必要があるかもしれない。間接部門から直接部門へ人員シフトをかけよう。リモートワーク対応を継続しなければ。セキュリティは大丈夫か?そんな中でも従業員モチベーションを落とさないよう組織活性化に目配りしたい。

次から次へと降りかかるレスキュー事項を切り盛りするために、我が社を持ちこたえさせてくれる幹部を急ぎ採用したい-----こうしたニーズがそこここで浮上します。ターンアラウンド経験を持つ経理財務責任者、人事総務責任者、管理部長・CFO人材には、その腕を振るうチャンス到来です。

営業部門におけるテコ入れ人材

新型コロナは当然のごとく、各社の売上を直撃しています。新型コロナの影響で物理的にビジネスがストップしてしまった流通や観光、行動制限に伴い顧客が減少せざるを得ない外食や交通関連。また、これらの業界各社をクライアントとしているサービサー各社にも売上減の影響は及んでいます。フードテックやモビリティテックで革新的なプラットフォームやDX促進を果たし始めていた注目ベンチャーが、まさかこのような事態で自社が果たすべき市場が縮小・消失してしまうとは、当事者各社も、そこに大型出資をしたVC各社なども思いもしなかったことでしょう。

直接の影響を受けている各社であれば、商品・サービス・ソリューションの提供形態を待ったなしで変革して売る必要がありますし(飲食が店内でなくお持ち帰り・お弁当などで提供。ライブで提供していたエンタテインメントがオンラインでの提供に、など)、全体的な経済縮小に間接的に影響を受けている全ての企業においては、どう営業体制を強化するか、あるいは市場に合わせて最適化・再編・縮小などするかの具体的対応が待ったなしです。

このような状況において、営業マネジメントとして求められるのは、会社の仕組みやルールに則って「ただ売ってきた」人では、絶対にありません。
変化局面、先の見えない危機的な状況において、ソリューション営業で苦境を打開した受注実績を持つ営業リーダー。あるいは激変した自社の市場環境に変化対応すべく、営業組織を再編・最適化することで業績をあげたことのある営業統括責任者。このような人たちに、最大の活躍チャンスが到来しています。
また、新型コロナでオンラインセールススタイルの普及が加速する中、いまどきの「マーケティング+インサイドセールス+フィールドセールス+カスタマーサクセス」体制を構築できる人などは、まさに引く手数多です。(ぜひ、当社にも転職ご相談ください!)

新規事業部門におけるテコ入れ人材

上記の営業面での課題と関連しますが、これを機に「コロナ後の世界」に対応できる新事業、ニュー・ノーマル(新常態)に対応する自社商品・サービスの上市を急ぐ企業も急増しています。
括れば【非接触】【分散化】【清潔・抗菌】【巣ごもり環境を整える】あたりのいずれかに対応する、理想型を実現する新商品・新サービス・新事業を各社が必死に考え、企画しているということになります。御社ではいかがでしょうか?

この局面においての新規事業、新商品・サービス開発で問われているのは、スピードと具体性です。言葉選ばずに言えば、よくある新規事業部門のように「事業企画案のペーパーを書く」ことが仕事になっているようなものだと全く論外で、とにかく早くベータ版、パイロット版でもASAPでまず世に出し顧客に検証してもらおうというモードです。

ですから、当社においても、いま、事業開発責任者・新規事業責任者のポジションも多数ご依頼を頂いておりますが、部署名・肩書きがこれらに該当する人で「ペーパーだけ書いてきた」方、「企画起案、準備だけ」やってきたという方はあいにくと要件に合いません。
新規事業とはいえ足元から早期でマネタイズしてきた実績をお持ちの方、それまでスタックしていた新規事業を描きなおして軌道に乗せた経験を持つような方には、まさにチャンス。ベンチャーなどでは、社長とともにこれからの市況の中でもしっかりVCとコミュニケートし資金調達に貢献できるというCFO系の方も強く求められていますし、今後もそのニーズは根強いでしょう。

共通して言えるのは、キャリアカーバーをご利用のエグゼクティブ層の皆さんであれば、この状況下において「どうすればよいですか?」というタイプはここから当面、転職市場では厳しいでしょう。「ウィズ・コロナ」「アフター・コロナ」においては、社長が幹部の皆さんに「どうすればよいと思う?」と相談したいのです。皆さんの職務ご専門ごとに、その社長の悩み、相談に対しての良き相談役・参謀となっていただけるか否かを、意識的か無意識的かに関わらず、採用選考においてこれまで以上に強く確認されることでしょう。

少なくともこれから1年、ご自身のご実績・業績やテーマ・強みが漠然としている人、曖昧なままの人は、転職市場ではなかなか見向いてもらえないと覚悟しましょう。
具体的に出せる成果、やれる業務、自身の明確な展望を携えて転職活動する方にとっては、引く手数多なので全く心配する必要なし!です。ぜひ、積極的に案件検討をされて、「コロナ後の時代」でのご活躍の場へと展開いただければ幸いです。

ではまた、次回!

井上 和幸 氏

株式会社 経営者JP / 代表取締役社長・CEO

井上 和幸(いのうえ かずゆき)

1989年早稲田大学卒業後、リクルート入社。2000年に人材コンサルティング会社に転職、取締役就任。2004年よりリクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)。2010年に経営者JPを設立、代表取締役社長・CEOに就任。 『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ずるいマネジメント』(SBクリエイティブ)『30代最後の転職を成功させる方法』(かんき出版)など著書多数。