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2018.01.16
転職事例紹介 Vol.19

安斎 知高さん株式会社セブンシーズ
代表取締役

1988年、株式会社リクルートエージェント(旧社名リクルート人材センター)入社。1990年代に大手外資系IT企業日本法人の大量採用プロジェクトに従事、年間20~30名採用を数社成功させる。90年代後半には、カントリーマネージャーサーチ案件を年間平均2~3件ほど成功させると同時に、新規日本法人設立時の複数幹部サーチプロジェクトを手がける。2000年にセブンシーズ設立後は、年間平均15~20件ほどのサーチプロジェクトを成功させる。ポジション、職種はカントリーマネージャーからCOO、セールスVP、CFO、HRディレクター、リーガルディレクターまでマルチ対応。案件のほとんどは外資系、国内系問わず、中堅規模~スタートアップ企業の依頼案件であり、海外HQ幹部及び外資系日本法人社長、国内ベンチャー社長などに独自の人脈を築いている。

40代人事部長Sさんを、実践的な面接トレーニングで転職成功に導いた

13年ぶりに顔を合わせたら、開口一番「転職に失敗しました…」と言われて

ある日、一本の電話がありました。Sさんが、「新天地に移りました」という報告をしてくれたのです。驚きました。何しろ、Sさんの転職の転職相談にのったのが13年も前のことなのです。

13年前、私はSさんに、あるベンチャー企業の人事課長ポジションを紹介し、彼はその企業から内定を得ました。それとは別に、Sさんは公募で、日本人なら誰もが知るような大企業の採用リーダー職の内定も獲得、私はSさんからどちらのポジションを選ぶべきかを相談されました。Sさんはもともと営業出身で、そのときはまだ人事経験が3年しかありませんでした。彼の将来を考えれば、大きな組織でしっかりとしたトレーニングを受け、さまざまな人事経験を積んだほうがよいと考え大企業の採用リーダー職を勧めました。ビジネス的には損失になりましたが、それよりも彼の将来を大事にしたかったのです。今回あらためて連絡をもらったのも、彼がそのときのことを覚えていたのでと説明してくれ、懐かしさと嬉しい気持ちがこみあげてきました。

40代半ばになったSさん、彼の説明によると13年務めた大企業を辞め、あるベンチャー企業に執行役員として入社、連絡後すぐにSさんの会社を訪問しました。今度はクライアントとして人材採用案件の発注をしたいと・・・ところが、Sさん、開口一番、小さな声で「転職を失敗しました…」と言うのです。その企業が入社前に聞いていた状況とまったく違うので、今すぐにでも転職したいと語るのです。

話の内容が内容だったので、別の日にあらためてSさんと会い、お互い積もる話をしたのち、事情が事情であることをよく理解し、すぐに大手小売企業の人事部長の案件を紹介しました。しかし、残念ながら面接の結果はNGでした。クライアントに理由を確認すると、Sさんのしゃべり方、内容ともスムーズさに欠け、彼の実力を評価するまでに至らなかったとのこと。すでに大企業で10年以上の人事キャリアがあるのだから面接は十分対応できるだろう、すぐに新たな転職先が決まるだろうと高を括っていた私が間違っていました。このままだとSさんはどこの会社の面接に行っても結果は同じかもしれないと・・・

「面接が上手になる唯一最大の方法」を伝授する

その後、私はSさんをオフィスに呼び、面接トレーニングを行いました。私が企業側の面接官役となり、実践的なロールプレイを行ったのですが、彼の対応には明らかに問題がありました。Sさんは、本当に伝えなくてはならないことをほとんど伝えず、相手にとってどうでもよいと感じることばかり話していたのです。しかも、ところどころで質問を投げかけると、うまく答えられず、マゴマゴしてしまいます。これではクライアントから評価を得られるはずがありません。

そこで私は、面接が上手になる唯一最大の方法を彼に伝授しました。それは「家に帰って、鏡の前で声を出し、一人で面接の練習をする」ことだと。私はここで断言できますが、面接対応術の本を10冊読んでも面接はうまくなりません。声を出して実戦練習をする以外の方法は存在しないのです。Sさんには、改善点を伝えた上で、3日間、家の鏡の前でひたすら面接を練習してもらいました。3日後、もう一度お会いして、何度も繰り返しロールプレイを行い、たくさん声を出してもらって、さらに調整を加えながら、大丈夫だと思えるところまでレベルを高めていきました。

その後Sさん、あるメーカーの人事部長にほどなく決まりました。いきなり社長面接をアレンジしたのですが、その社長は「Sさんは能弁で、彼の想いを熱く語っていて好印象でした。その面接の場で、一緒にやってくれないかと声をかけました」とおっしゃっていました。ただし、「私だけでなく、役員にもぜひ会ってほしい」という注文をつけることも忘れていませんでした。私は、社長から直々に誘いを受けて喜んでいるSさんに「まだ何も決まっていません」と厳しく声をかけ、気を抜かないようにアドバイスしました。その後、役員との顔合わせ昼食会も無事に終わり、彼は正式に内定を得たのです。少々苦労しましたが、その分だけ記憶に残るエピソードです。

立つ鳥、跡を濁しまくろう

私独自の面接トレーニングの一端をお伝えしましょう。まず、典型的なNGパターンなのが、「私は●●年に新卒で●●社に入社し…」と物語調に話し始めることです。履歴書の朗読は絶対よくありません。そうした「one wayコミュニケーション」は、面接官の印象を著しく損ねます。なぜなら、面接は、あくまでも対話の場だからです。履歴書・職務経歴書に書かれていない自分の本当の特徴を伝え、理解していただく場なのです。

また、これは意外に思われるかもしれませんが、履歴書や職務経歴書には「退職理由」「志望理由」「自己PR」などを一切書かないほうがよいでしょう。セオリーに反すると感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、書くべきではありません。なぜかといえば、書かれた退職理由・志望理由・自己PRが、あなたのイメージを形成してしまうからです。たとえば、「ヘッドハンティングを受けて転職」と書けば、面接官は「この人はまたすぐに転職してしまうかもしれない」と思うでしょうし、「希望業務に合わず退職」と書けば、「ただのわがままな人」と感じることでしょう。そうした先入観を相手に抱かせるメリットはどこにもありません。履歴書や職務経歴書はなるべく無機質に事実ベースだけを羅列し、「思い」や「理由」に関することがらは自分の口から丁寧に説明した方が間違いなく評価が上がることでしょう。

それから、ベテランの気力・体力アピールは逆効果でしかありません。経営層や人事の方々がベテランに期待するのは経験やノウハウであって、気力や体力ではありません。「最近はちょっと血圧高めで・・・」と語った方が、「この人、正直な方だなぁ」と好評価につながることもあるのです。

最後にもう1つだけアドバイスを。それは「立つ鳥、跡を濁しまくれ」、です。クライアントの面接を経て正式内定後に「今は忙しいので、数カ月後なら入社できます」と真顔で言う方がいるのですが、それは全くのナンセンス。「社内の引継ぎに相当時間がかかるので」と説明する方もいますが、会社側の視点に立てば、辞めたい社員にはすぐに辞めてほしいと思っているのが本音です。会社側は辞める人に機密情報を持っていかれることや、社内の空気を悪くされることを非常に気にしています。「引継ぎをちゃんと」とは自分の美学であり、きつい言葉で言えば究極の自己満足とも言えます。新天地に移ると決意したのであれば、100%新天地の要望に沿って行動する・・・それが例え立つ鳥跡を濁すことになっても、自分の新しい人生を成功に導くための不可欠な決断ではないでしょうか。

以上のアドバイスは、すべて経営者や経営陣の目線でみた考え方です。転職とは転職希望者側の思いだけで成立することはありません。逆もしかり、企業側の論理だけでよい人材を確保することはできません。双方の状況、気持ち、判断が相成って「転職」が成立します。自分から相手を見るだけではなく、自分の発する言葉・言動が相手にどう思われるか、その視点も大切にすることが転職を成功に導く鍵となるでしょう。私の役目は、転職を考える皆さんに、こうしたことをしっかりとお伝えすることだと思っています。

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